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最高裁判所第一小法廷 昭和50年(オ)940号 判決 1975年12月25日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人入江弘の上告理由一、(一)及び同二、(一)について

換地予定地の指定の通知があつた場合には、その換地予定地の全部又は一部について、従前の土地に存する権利の内容たる使用収益と同じ使用収益ができる(土地区画整理法九九条一項)。したがつて、従前の土地に所有権が存する場合においては、換地予定地に対する使用収益権は所有権と同一の内容を有するとともに、第三者が権原なくしてこれを不法に占有する場合には、これに対し所有権に基づく物上請求権と同様の権利を行使することができると解するのが相当である。そうすると、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。それゆえ、論旨は採用することができない。

同一、(二)及び同二、(二)ないし(五)について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係及びその説示に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、独自の見解及び原審の認定にそわない事実関係を前提として原判決の違法をいうものであり、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岸 盛一 裁判官 藤林益三 裁判官 下田武三 裁判官 岸上康夫 裁判官 団藤重光)

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